4. ギリシャ神話の神々、妖精、妖怪、英雄の名鑑 - ア・イ・ウ・エ・オ | 小澤 克彦 岐阜大学・名誉教授

ギリシャ神話の神々、妖精、妖怪、英雄の名鑑
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アイアコス(英雄・後に冥界の裁判官)
アイギナ島の英雄で、ゼウスと妖精アイギナ(同項参照)との間に生まれる。アイアコスは、もっとも敬虔なるものとして死後に「冥界での裁判官」の一人となった。トロイの英雄アキレウスの父となるペレウスと、同じくトロイの英雄アイアスの父となるテラモンの父となる。彼の島は母であるアイギナから名前をとった。

アイアス(トロイ攻めの英雄)
ホメロスの『イリアス』の主要登場人物。トロイ戦争の英雄で、アイギナ島の北にある「サラミス島」の領主とされる。トロイ戦争においてはアキレウスに次ぐ勇士と讃えられているが、戦士したアキレウスの武具を巡ってオデュッセウスと諍い、負けて狂気となり自刃した次第がソポクレスの悲劇『アイアス』で描かれる(トロイ戦争伝説の各章、特にトロイ滅亡後の章、参照)。

アイオロス(風の支配者)
海の神ポセイドンの子とされ、『オデュッセイア』において、オデュッセウス(同項参照)に「風を封じた袋」を与える。
他方で、「アイオロス人」の祖とされるアイオロスという人物もいるが、しばしば上記のアイオロスと同一視される。
さらにエウリピデスの悲劇『メラニッペ』ではメラニッペとポセイドンの子として登場してくる人物もいる。

アイオン(擬人神)
時、永劫の擬人神。キプロスのパフォスに「アイオンの館」と呼ばれるモザイク館があるが、それはこのアイオンのモザイクに由来する。

アイギストス(悲運の悪役)
ミケーネを巡る物語の登場人物で、一般にアガメムノン殺害、ないし夫アガメムノン殺害となる妻クリュタイメストラの愛人(ホメロスの[デュッセイア]、アイスキュロスの悲劇『アガメムノン』など)として知られる。しかしそこには、兄にだまされて、我が子が殺されたばかりか料理されて食べさせられるという非道を働かされた父の恨みを晴らすという理由があった(アトレウスの項参照)。その兄の子というのがアガメムノンであったわけだが、アイギストスはそのアガメムノンの息子オレステスによって復讐される。その一連の事件がアイスキュロスの悲劇『オレステス三部作』で描かれている。

アイギナ(妖精)
「アソポス河」の娘となる妖精。彼女はある島でゼウスによって子どもを孕まされ、以来この島は「アイギナ」と呼ばれるようになったという。アテナイの沖合にある島で、この島は古代にあっては非常に重要で有力な島であった。彼女から生まれたゼウスの子が「アイアコス」で、彼は敬虔なる英雄として知られ死後「冥界の裁判官」となっている(「神々の恋」の章を参照)。

アイゲウス(アテナイ王)
アテナイ王で、テセウスの父。ミノタウロスを退治にクレタ島に向かったテセウスが、帰還の際には白い帆で戻ってくる約束になっていたものを、アリアドネ(同項参照)を失った悲しみに張り替えるのを忘れて黒い帆のまま戻ってしまい、それを見てアイゲウスは息子テセウスの死と誤解して海に投身したという。それ以来この海は「アイゲウスの海=アイガイオン=エーゲ海」と呼ばれることになったという(テセウス伝説の章参照)。

アイネイアス(トロイの英雄、ローマ建国の祖)
ホメロスの『イリアス』の登場人物。ローマ期のウェルギリウスの叙事詩『アエネイス』の主人公。トロイ戦争でのトロイ方の英雄。母に女神アフロディテを持ち、父はアンキセス({神々の恋}の章参照)となる。トロイ脱出後イタリア地方に逃れ、やがてその子孫ロムヌスがローマを建国することで、ローマ人の祖となる。

アガウエ(我が子を狂乱の中で殺す悲運の女性)
エウリピデスの悲劇『バッカイ』の登場人物。神ディオニュソスにまつわり、その祭りは女たちの狂乱を伴うとしてテバイの王ペンテウスは神を迫害するが、逆に呪われ、母アガウエは狂乱の中で我が子ペンテウスを八つ裂きにしてしまう。これにはアガウエがディオニユソスの母となることになる姉妹のセメレを中傷したその罰であったともされる。

アガメムノン(トロイ攻めのギリシャ軍総大将、ミケーネの王)
ホメロスの叙事詩『イリアス』の登場人物。アイスキュロスの悲劇『アガメムノン』、エウリピデスの悲劇『イピゲニア』等の登場人物。ミケーネの王で、トロイ戦争でのギリシャ方の総大将。トロイを攻め、妻を騙して娘イピゲニアを犠牲にし、帰還の後妻クリュタイメストラに復讐されて殺される(トロイ戦争伝説の各章を参照)。

アキレウス(トロイ攻めの英雄)
ホメロスの叙事詩『イリアス』の主人公。ギリシャ最大の戦士として、ギリシャの文芸・美術にさまざまに登場する。「女神テティスと英雄ペレウス」の子ども。『イリアス』は、親友パトロクロスとの「死」を超えた友情が大きなテーマとなっている。伝説では、母となる女神テティスは赤子のアキレウスを不死にしようと、冥界の水(一説では火)に浸けたが発見されて果たせず、掴んでいたくるぶしの部分が人間的要素を残して急所となり、トロイ戦争でそこに矢が刺さって死んだ。その部分を「アキレス腱」と呼ぶ(トロイ戦争伝説各章を参照)。

アクシリオス(ペルセウスの母ダナエの父)
ルゴスとティリンスの分割にも関わった王で、兄弟喧嘩の末、アルゴスを二分することになる。有名なのは、ゴルゴンのメドゥサ提示で有名なペルセウスの母ダナエの父であり、ダナエの息子によって命を落とすとの神託で彼女を青銅の部屋に閉じこめたのだが、ゼウスが黄金の雨となってダナエを犯してペルセウスが生まれることになったというもの。神託は当然実現する(英雄ペルセウスの章参照)。

アシア(大陸の名称の女神)
始原の大地神ガイアと天神ウラノスの子である大洋の神オケアノスと海の女神テテュスの娘。アジア大陸の名前にその名前が残っている。イアペトスによって「天球を担う巨人神アトラス」や「先慮の神プロメテウス」の母となる。

アスクレピオス(英雄、後に医療神)
神アポロンとテッサリア地方の少女コロニスとの間に生まれる。コロニス(「神々の恋」の章参照)が人間の男に心を移したことからコロニスはアポロンに射殺されるが、赤ん坊は助け出される。この子がアスクレピオスで、後に医学の達人となって死者をも生き返らせるに及んで、自然の摂理を乱すとして神ゼウスによって殺される。しかし天に挙げられて医神となったとされて崇拝の対象となった。崇拝の中心地はペロポネソス半島の東海岸近くのエピダウロスだが、各地に勧請されている。

アストライア(正義の女神)
原初の女神「掟のテミス」の子たち「ホライ」の一人である「正義の女神ディケ」の別名とされ、人間世界に正義が失われていくのに悲観して天に戻り「乙女座」となって今もって地上を見ているとされる女神(「星のギリシャ神話」の章を参照)。

アタランテ(女傑)
ギリシャ英雄伝の中の女傑の一人。生まれた時に捨てられたが、雌熊によって育てられたといい、足が速く(これは英雄の条件)、求婚してくる若者に駆け比べを提示し、早めに出発させて後から追いかけて追いつくとその若者を殺したという。カリュドンの猪狩りにおいては一番矢の栄誉を射止めている。後に夫となった男とゼウスの神域で交わったためライオンに身を変えられた。

アテ(迷妄・破滅の女神)
要するに「とんでもない考え違い、自分勝手な主張、迷妄」とそこから引き起こされてくる「致命的な過ち」、そしてそれに基づく「破滅」を象徴している女神。ホメロスの『イリアス』では、総大将アガメムノンがアキレウスに対して理不尽な言動を働いたところからアキレウスを怒らせてしまい、おかでアキレウスが戦陣から引いてしまったおかげであわや敗北という瀬戸際まで追い込まれてしまった時、アガメムノンは「女神アテの仕業だ」と弁解している(「闇にうごめく神々」の章を参照)。

アテネ(オリュンポス12神の女神)
元来彼女は太古の昔の土着の「守護神」であったようで、したがってオリュンポス神族の一員となっても「戦の神」としての性格を保つ。守護神なので戦の性格も「勝利・栄光」と結びつき、そのため「勝利の女神ニケ」は常にアテネと共に居る。したがってアテネはギリシャ全土で敬愛され尊ばれていた。また彼女は戦いにつきものの「策略」を司り、ここから「知の神」となる。ここから後代「学問の神」ともされていく。一方、アテネは女性に要求されていた「織物」を司る神でもあり、ここから若い女性の美徳を司る神とも見なされていった。多くの彫刻に残り、後世でも美術の主題とされている(「オリュンポスの神々の物語」の章を参照。

アドニス(花となった美少年)
「アネモネ」の伝説で知られる美少年で、女神アフロディテに愛されたが、狩猟の最中に猪のキバにかかって死に、その流れた血から「アネモネ」が生じてきたという(「神々の恋」の章、アフロディテの節を参照)。

アトラス(天球を支える巨人神)
巨人(ティターン)神族の一人で、ゼウスたちオリュンポス神族と巨人(ティターン)神族との戦いにおいて負けた時、「罰」として天球を持たされることになったとも、もともと彼が天球を支えていたので敗戦の後も彼だけはそのまま任務を任されて「底なし空間タルタロス」に投げ込まれずにすんだとも言われる。他方、ホメロスの叙事詩では天球を支える支柱の番人となっている。現在「世界地図」にその名前が残っている。このアトラスは現在のアフリカの西部に身を横たえているとされて「アトラス山脈」に名を残し、さらにその山脈が望む海が「アトラスの海」とされて「アトランティス海=大西洋」の名前となった。哲学者プラトンの伝える一夜で沈んだ巨大文明の大陸はここにあったとされて「アトランティス大陸伝説」となった(「ヘラクレス伝説の章、12の難行ヘスペリスのリンゴ」の節を参照)。

アドラストス(テバイ攻めのアルゴスの王)
テバイ戦争伝説でのアルゴスの王で、テバイから亡命してきたポリュデイケスを助けてテバイに進軍していった(「テバイ戦争伝説」の章を参照。

アトレウス(ミケーネの王)
トロイ戦争のギリシャ方総大将アガメムノンの父となるが、ミケーネを巡る呪いの発端を作った人物。つまり、弟であるテュエステスと諍いとなった時、アトレウスはテュエステスと和解するというふれこみで呼びつけて、その三人の子どもを殺してバラバラにして料理してそれをテュエステスに食べさせるという非道を行う。テュエステスは逃れて神託を乞うた上で、自分の娘と交わって子どもアイギストスを生み復讐を託する。アイギストスはアトレウスの子アガメムノンを討ってその努めを果たした。

アフロディテ(オリュンポス12神の女神)
「美の女神」。神話作家ヘシオドスの伝える神話では、初代の神ウラノスの、切り取られて海に捨てられた男根にまつわりついた「泡」から生まれた女神。ゼウスたちとは関係ない筈だがどういうわけかオリュンポス神族に属している。他方、ホメロスでは彼女は「ゼウスの子ども」とされ、従って後代「二人のアフロディテ」などということにもなってしまうという複雑な神。「美の女神」なので当然美術のモデルとしてたくさんの彫刻がある。もっとも有名なのが「メロスのアフロディテ(ローマ名にされて「ミロのヴィーナス」)となる。(神々の生成、「ガイアとウラノス」の章、オリュンポスの神々の物語)の章を参照)

アポロン(オリュンポス12神)
「予言の神」として、女神アテネと並んでギリシャ人にもっとも愛された神。冷静で沈着、信義を重んじ知的で音楽を愛する。一方、ホメロスの『イリアス』では「予言の神」の性格はなく、「疫病の矢」を降り注ぐ「恐ろしい神、力において卓抜した神」として描かれている。ただし、これも自分の神官の危機の願いに応じた信義にもとづくものであり、敵にとっては恐ろしいというだけで、味方にすればこれほど頼もしい神はいない。後代では通常「予言の神」としてデルポイに「神託所」としての聖域を持ち、ここは古代ギリシャで最大重要地だった。彼の管轄するところは上にのべた「音楽」も有名で、したがって彼は常に「文芸の女神達ムサイ」を従えている。また予言に関係して当然「知の神」でもあり、また疫病から「医術」も管轄する筈だったが、これは自分の息子の「アスケレピオス」に譲っている(「オリュンポスの神々の物語」「神々の恋」の章参照。

アマルテイア(妖精)
ゼウスを養育したクレタ島の妖精。

アムピアラオス(テバイ攻めの英雄・後に精霊)
アイスキュロスの『テバイ攻めの七将』、エウリピデスの『フォイニッサイ』の主要登場人物。テバイ戦争伝説でのテバイ側の七将の一人。高潔な人物で予言の能力に長けていた。テバイでの敗北で逃れる途中、アテネから北にあるオロポスというところで地中に飲まれ、精霊となって「夢占い」での予言を与えるようになって崇拝された。後に「病気での夢占い治療」で有名となり、そこに現在も彼の神域の遺跡がある(アムピアラオス伝説の章参照。

アムピトリテ(海の妖精)
海の妖精たち(ネレイス)の一人であったが、海神ポセイドンに見初められてその妻となる(「妖精」の章参照)。

アラクネ(慢心の少女)
織物の名手であったが、慢心して女神アテネに挑戦するに至り、腕前は優れていたがアテネによって「蜘蛛」に変えられた少女。

アリアドネ(クレタの王女)
アテナイの王子テセウスがクレタ島にミノタウロスを退治しにきたとき、彼と愛し合い、ミノタウロスのいる迷宮からの出方を教えた。そしてテセウスとともにアテナイに向かったが、途中ナクソス島で神ディオニュソスに浚われ、ディオニュソスの妻とされた。一般によく紹介される「テセウスによって捨てられた」とされるのは、後代のローマ時代になってからの文学的脚色によるもので本来のものではない(テセウス伝説の章参照)。

アルキノオス(王)
『アルゴナウティカ(アルゴー船伝説)』とホメロスの叙事詩『オデュッセイア』での登場人物。パイアケス人の王。「アルゴー船伝説」では、イアソンとメディアが追っ手を逃れてたどり着いた地の王として二人を助ける。『オデュッセイア』では最後にオデュッセウスがたどり着き王女ナウシカに助けられるが、その父として登場してオデュッセウスを歓待して故郷イタカに送り出す王となる(アルゴー船伝説)「オデュッセウス」の章を参照)。

アルクマイオン(テバイ戦争での「後裔による戦い」の大将)
テバイ戦争での英雄アムピアラオスの息子。父の死後その意志を継いでテバイを攻めて滅ぼす。ついで、これも父の意志であった「裏切りの妻(彼にとっては母)」への復讐を、自分までも裏切られていたことを知って決行し、母殺しということで諸国をさまようという波乱の人生を送る(アムピアラオス伝説の章参照)。

アルクメネ(ゼウスの愛人)
すでに人妻であったが、ゼウスは夫が出征中に夫の姿となって帰還したと見せかけて彼女をベッドにつれていき交わってしまう。こうして彼女はゼウスの子どもを孕むが、その子どもというのがギリシャの英雄の中でもえり抜きの豪傑「ヘラクレス」となる。彼女の方はその後も夫とうまくやっていったようであった(「ヘラクレス伝説」「神々の恋」の章参照)。

アルゴス(英雄たち複数)
アルゴスという人物は神話に複数いる。先ず、第一に「アルゴス」という地名の元となる「ゼウストニオベの子」がいる。
 第二にその孫ともされるが、三眼あるいは無数の眼を持った怪人で、人畜に害を働く牡牛やサテュロス、また妖怪エキドナなどを退治する英雄がいる。彼は、女神ヘラの命令で牝牛に変えられたイオを見張っている時、神ゼウスの命令を受けたヘルメスに殺されてしまうという悲運に見舞われる。このアルゴスは偉大であったため、それを殺した神ヘルメスは「アルゴス殺し」という異名を持つことになる。
 第三に、アルゴー船伝説で、黄金の羊の毛をコルキスに持っていったプリクソスの子としてイアソンを助けるアルゴスがいる。
 第四にアルゴー船伝説でのアルゴー船の建造者としてのアルゴスがいる。

アルテミス(オリュンポス12神の女神)
アポロンの双子の姉妹。彼女の管轄に「純潔」があるためイメージとして「若い処女」というイメージを持つ。しかし太古の土着民の時代の本来の彼女は「生産」にかかわり(この性格は小アジア、現在のトルコ領の「エフェソス」での崇拝に濃厚に観察される)、後にオリュンポス神族に取り込まれた時もこの性格をうしなわず、彼女は「山野・野獣」を司る神として常に山野・森を駆けめぐり「狩り」をしている姿で描かれる。また「野獣」というところから「出産」にも関わる女神であった(「オリュンポスの神々の物語」の章参照)。

アレス(オリュンポス12神)
戦の神。彼の管轄は「殺戮」にあるためギリシャ人も嫌っており、物語でも乱暴で知性に欠け無頼漢扱いされている。その上、ホメロスの『イリアス』では、女神アテネにこっぴどくやられてしまうようになっている。しかし、何せ「戦争」の絶えなかった古代だったので「戦争の神」は大事にされ、12神の一人に加えられている(「オリュンポスの神々の物語」の章参照)。

アレトゥサ(シケリア・シラクサのオルティギア島の泉)
シケリア・シラクサのオルティギア島の海辺にある淡水の泉。もともとはギリシャの妖精で、純潔の女神アルテミスに従っていた。しかし、ある時アルペイオス河神に見初められて迫られ、処女を守ろうとアルテミスに願って泉に変身し、海底を潜ってシケリア島まで逃げてきたが、アルペイオスも河であるから同じく海底を潜って追いかけ、泉となっていた彼女に流れ込んで交わり合体してしまったという。

アンキセス(英雄)
女神アフロディテに愛されて、乙女の姿となって彼に近づいたアフロディテからトロイの英雄「アイネイアス」を生む。ローマ時代の叙事詩『アエネアス』の登場人物(「神々の恋」の章参照)。

アンティオペ(ゼウスの被害者、悲劇の少女)
彼女はサテュロス(上半身は人間で下半身は山羊という山野の精)に変身して近づいたゼウスによって犯され、子どもを孕んだことで父の怒りを怖れて出奔しシュキオンに逃れる。アンティオペはその後虐待されたり狂気に落とされたり諸国を彷徨ったりの悲運の連続で、ようやく晩年平安を得る(「神々の恋」の章参照)。

アンティゴネ(オイディプス伝説の英雄女性)
ソポクレスの悲劇『アンティゴネ』『コロノスのオイディプス』の主人公。オイディプス王の娘で、呪われて諸国をさまよう父を幼い時から付き従って助け、またテバイ戦争となって死んだ兄の埋葬を巡って叔父クレオンと対立し、クレオンの命じた法に逆らい、死を掛けて兄を埋葬していく姿は、ギリシャ神話の女性達の中でもとりわけ英雄的な女性としていった。近代西欧でも「英雄女性」として人気が高い(テバイ戦争伝説の章参照)。

アンティロコス(トロイ攻めの英雄)
ピュロスの王ネストルの息子。アキレウスの友人で足が速くまた戦車にも長けていた。パトロクロスの葬送競技で活躍している。

アンテノル(トロイの長老)
ホメロスの『イリアス』の登場人物。トロイ方の長老で、常に和平のために骨を折る。そのため、トロイが落とされた時も彼だけはギリシャ軍によって助け出された(トロイ戦争伝説の章参照)。

アンドロマケ(トロイの悲劇の女性)
『イリアス』の登場人物で、トロイの総大将「ヘクトル」の妻。エウリピデスの『アンドロマケ』の主人公。夫ヘクトルが殺され、ギリシャに奴隷(妾)として連行され苦難の人生を歩むが、晩年その子ペルガモスと共に小アジア(トロイのあった地方)に帰還し、都市「ペルガモン」を建設する。

アンドロメダ(エチオピアの王女)
母カシオペが、神への不敬から呪われて娘であるアンドロメダが海の怪物の餌食にされそうになったところを、ゴルゴンのメドゥサを退治した英雄ペルセウスの目にとまって助けられ、その妻となった。

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イアソン(アルゴー船の英雄)
『アルゴナウティカ(アルゴー船伝説)』の主人公。エウリピデスの『メデイア』の登場人物。イオルコス地方(アテナイの北方でエウボイア島の北端に面した湾の奥)の王であったアイソンの息子。アイソンは腹黒い兄弟に国を略奪され、イアソンはその叔父の策略で「黄金の羊の毛」を求めて冒険の旅にでることになった(アルゴー船伝説の章参照)。

イアペトス(巨人・ティタン神族の一人)
オケアノスとテテュスの娘である「クリュメネ」を妻として(別伝では「アシア」)、「アトラス」「プロメテウス」「エピメテウス」「メノイティオス」を生んだ。古代ギリシャでは原初の神々の代表として「古めかしい老人」へのあだ名となっていたとも言われる。

イオ(ゼウスの被害者、悲劇の女性)
河の神イナクスの娘、ゼウスに狙われ、雲に身を変えたゼウスに犯されてしまう。妻ヘラの目をくらますため「牛」に身を変えられ、諸国をさまようことになる(「神々の恋」の章参照)

イオカステ(オイディプス伝説の悲劇の女性)
ソポクレス『オイディプス王』の登場人物。オイディプスの母であったが運命に翻弄され、知らずしてオイディプスの妻ともなり四人の子を産む。事が判明し首をつって死ぬ。

イオラオス(ヘラクレス伝説の英雄)
エウリピデスの『ヘラクレスの子ども達』の主人公。ヘラクレスの甥であり、「レルナのヒュドラ退治」などで彼を助けて活躍。エウリピデスの作品では、迫害されるヘラクレスの子ども達を守って、老人になっていた彼は「一日だけの青春」を願って、「青春の女神へべ」に聞き届けられて青春を取り戻して助ける。これは後代になっても「若くなったイオラオス」として良く知られた話しとなった。

イオン(民族の祖)
イオニアの祖とされる人物。あるいはエウリピデスの悲劇『イオン』の主人公。

イカロス(空を飛んだ少年)
クレタ島の「迷宮の神話」の登場人物で、迷宮を作ったダイダロスの息子。迷宮に閉じこめた怪物ミノタウロス退治のテセウスの事件の後、迷宮に閉じこめられるが父とともに翼を作って空に飛び出し、うれしさのあまり高く飛びすぎて海に墜落した。彼の名前をとった島がエーゲ海の「イカリア島」となる。

イクシオン(罪の人物)
永遠の地獄タルタロスで、火焔にくくりつけられ永遠に苦しんでいる、という話しで知られる。その罪は、こともあろうに神ゼウスの妻である女神ヘラを犯そうとしたことで、ゼウスは雲でヘラの似姿を作ってこれと交わらせた(こうして、この雲から凶暴なケンタウロスの一族が生まれることになったという)。そしてゼウスは彼を永遠の地獄に突き落とした、となる。

イスメネ(オイディプス伝説の悲劇の女性)
「オイディプス伝説」でのアンティゴネの妹。姉は英雄的な生き方をしたのに対して、彼女は通常の少女のようにおとなしく権威にいいなりに生きようとしたが、姉の危機に際しては死を恐れず必死に姉をかばって捕らわれていく悲運の少女。

イダス(アルゴー船の英雄)
『アルゴナウタイ(アルゴー船伝説)』の登場人物で「リュンケウスの兄弟」。有名な話しとしては、神アポロンと争ってマルペッサを妻としていく物語がある。また後に、このイダスと兄弟のリュンケウスとは牛のことで双子神となる「カストルとポリュデイケス」との間で争いとなり、イダスはカストルを殺したとなる。

イドメネウス(トロイ攻めの英雄)
ホメロスの『イリアス』の主要登場人物。クレタの王で勇戦している反面、年長者らしく相談役や判定者などを努めている。

イピゲニア(女神アルテミスの寵児となる少女)
エウリピデスの『(アウリスの)イピゲニア』、『タウリスのイピゲニア』の主人公。トロイ戦争伝説でのアガメムノンの娘。父に欺かれてアウリスで犠牲にされるところを女神アルテミスに救われ、タウリスでアルテミスの巫女となり、後に放浪の弟オレステスと再会して脱出し、アテネ近郊のヴラウロンのアルテミスの神域に来て巫女として死に、死後精霊となる。

イリス(虹の女神)
虹というのは突然大きく天から地上に橋を架けてくるわけで、こうして「神々の伝令・使い」という役目を持っている。似た職分の神としてヘルメスがいるが、ヘルメスは「道案内」の神であって、ゼウスの意向を伝えるために派遣されるいわゆる「伝令・お使い」とは違う。こうした意味での伝令はこの「イリス」が担っていた。そこで彼女は「足の速い」「風の足を持つ」「黄金の翼持つ」とか形容される。

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ウラノス(宇宙創成の原初の神)
宇宙開闢は「カオス、ガイア、タルタロス、エロス」の四柱の神々で、その一人である「大地ガイア」から分かれ出て「天の神」となる。こうしてガイアと共にクロノスの一族やキュクロプスの一族などの神々を生みだしていくことになり、その意味で「初代の神」とされる。(第一部のギリシャ神話紹介の「宇宙創生の神々」の章を参照)

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エイレイテュイア(出産の女神)
ゼウスとその妻ヘラの娘とされ「お産の女神」として常にヘラに従っている。彼女の司っているのは「人間の出産」である。野獣の出産の方は山野の女神アルテミスが司っている。

エイレネ(平和の女神)
ゼウスと掟の女神テミスの娘とされ、「平和の女神」だが「擬人神」で特に神話はない。しかし「平和」を望むさまざまの局面で彼女の名前が叫ばれる。通常名詞でもあるので、現代でも現代発音で「イリニ」というが、ギリシャでしばしば横幕にこの名前をみる。

エウマイオス(オデュッセウスの忠臣)
ホメロスの『オデュセイア』の登場人物。オデュッセウスの忠実な部下で「豚の飼育」を担っていた。帰還したオデュッセウスを助けて活躍する。

エウリュディケ(妖精)
「木の精」で、音楽の英雄オルペウスの妻。野原で蛇にかまれて死んでしまい、オルペウスが冥界まで奪回に赴き、後を振り返ってはならないという条件で取り戻せることになったが、その禁忌を今一歩のところで犯してしまい失敗したとの話はよく知られている。エウリュディケという名前の人物は他にも同名異人がたくさんいる(「妖精」の章参照)。

エウリュノメ(オケアノスの娘)
彼女はティタン神族のオケアノスの娘で、オリュンポスに居たがクロノスに追われて海に逃れたとされ、人魚の姿でイメージされていた。ゼウスによって優美の女神「カリス」を生んでいる。

エウロペ(ゼウスの被害者・有名王の母)
小アジア、現在のレバノンあたりの王女だったが、彼女を見初めたゼウスが「牛」の姿で近づき、油断したエウロペがその背中に乗ってしまったとたんに海へと泳ぎだし「クレタ島」へと連れていって彼女から子どもを生んでいく。こうして彼女は「ヨーロッパ」の名前の起源となる一方、彼女から生まれた子ども「ミノス」はクレタの支配者となる。その兄弟「ラダマンテュス」も死後は「冥界の裁判官」となっていく(「神々の恋」の章参照)。

エオス(曙の女神)
二頭立ての馬車を持っていて、太陽神ヘリオスに先だって東の空に現れる。その美しさが「バラ色の指した」とか「サフラン色のころもをつけた」とか歌われている。彼女の物語として知られているのが「ティトノス」の神話であるが(神々の恋いの章を参照)その子「メムノン」の伝承では、トロイ戦争でアキレウスに討たれた我が子メムノンを嘆き、毎朝その涙が朝露となって地に落ちているという悲しい伝承もある。他方で、彼女は風の神々「西風ゼプュロス」や「北風ボレアス」他「星々」の母となる。

エキドナ(妖怪)
上半身が女性で下半身が蛇という妖怪。数々の妖怪・怪物の母。

エコ(妖精)
「木霊(こだま)」となった物語で有名。一般には「ナルキッソス」との物語で知られる。このナルキッソスは希代の美少年でたくさんの乙女の恋心を誘ったが、彼は水に映る自分の姿に恋してしまい女には目もくれず、やはり彼を恋してしまった森の妖精であったエコはその悲しみのあまり身体が透けて遂に声だけになってしまったという(「妖精」の章参照)。

エテオクレス(オイディプス伝説の罪悪的人物)
アイスキュロス『テバイ攻めの七将』、ソポクレス『アンティゴネ』、エウリピデス『ポイニッサイ』などテバイ戦争伝説の登場人物。オイディプスの息子の一人で、王位を独り占めにしようと兄弟のポリュネイケスを追放したことから「テバイ戦争」へと発展した。父オイディプスに呪われ、兄と共倒れになって滅びていく(「テバイ戦争伝説」の章参照)。

エパポス(イオがゼウスによって得た息子でエジプト・メンピスの建国者)
ヘラの巫女であったイオがゼウスに犯されて、牝牛に変えられて諸国をさまよいエジプトに至り、そこで一子エパポスを得、エジプト王と結婚して女王となっていったとされる。エパポスは後にナイル河の神の娘「メンピス」と結婚し、その名前をとった都「メンピス(古代エジプトの首都)」を建設し、娘「リビュエ」を得たという。その娘は後に「リビア」の地の由来となっていく。

エピメテウス(後慮の神)
「先慮の神プロメテウス」の弟で「後で考える」という意味を持ち、要するに「先が見えない」ためゼウスからの贈り物「パンドラ(原初の女で、悪の源とされる)」を受け取ってしまい、そのため人間世界に災厄が蔓延するようになったという有名神話の当事者(「プロメテウス伝説」の章参照)。

エリクトニオス(アテナイ王)
神話的アテナイの王。女神アテネに欲情した神ヘパイストスのほとばしった精液が羊毛でぬぐわれて捨てられ大地に受け止められて生まれたという。これは「エリオン(羊毛)と「クトン(大地)」と語源の説明説話となる。

エリス(争いの女神)
ヘシオドスでは原初の神「夜のニュクス」の子。トロイ戦争の遠因となる「三美神」の争いを引き起こしたのもこの女神(「闇にうごめく神々」の章参照)。

エリニュス(復讐の女神)
複数形で「エリニュエス」といい、「復讐の女神」としてさまざまの神話中に活躍する。神話では初代の神ウラノスの男根が切り落とされた時、その血から生まれたとされる(ちなみに男根それ自体からは美の女神アフロディテが生まれる)。アイスキュロスの悲劇『慈しみの女神たち』の主人公となる。殺人、特に肉親に対する犯罪において立ち上る女神たちで、人間が自然の摂理・掟に逆った時に徹底的に追いかけていく(「闇にうごめく神々」の章参照)。

エリピュレ(アムピアラオスの悪妻、アルクマイオンの悪母)
アムピアラオス伝説、並びにその子アルクマイオンの物語の登場人物であるが、ともに「悪役」。テバイにつたわる「首飾り」と「着物」に目がくらんで、それを手に入れるために夫の死と取り替えて手に入れる。子アルクマイオンの時も同様にして裏切る。

エレクテウス(アテナイ王)
伝説のアテナイ王。もともとはエリクトニオスと同一であったらしいが単独の王にされて「エレクテイオン」に祭られるようになった。

エレクトラ(ミケーネの悲運の女性)
有名人物に二人いる。一人は「トロイ戦争伝説」でのミケーネの王アガメムノンの娘で、アガメムノンがその妻クリュタイメストラに復讐された後、父の仇として弟オレステスと共に母クリュタイメストラを殺すことになる。アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスの三大悲劇作家がそれぞれに彼女を主人公とした作品を書いている。ただしその扱いがかなり異なるので、三つの作品での彼女の性格もかなり異なっている。

エレクトラ(昴の姉妹の一人)
もう一人は「すばる」の星ともなる七人姉妹の一人で、彼女からは「ダルダノスとイアシオン」の兄弟が生まれている。ダルダノスは北エーゲ海の「秘教の島サモトラケ」から「トロイ伝説」にかかわり、ダーダネルス海峡に名前を残す。イアシオンは「デメテルの恋人」となり「富の神プルトン」の父となったとかの神話がつたえられている。

エレボス(宇宙創生の原初の神)
宇宙開闢の四柱の神の一人「混沌のカオス」が最初に生み出した「宇宙創生の神」で、「夜のニュクス」の兄妹。宇宙の「光と闇」の闇の部分を表すと理解される。この「闇と夜」とが生まれたことで、ここから「昼」が生まれたとされる。

エロス(宇宙開闢の神)
「愛の神」として有名なので、何となく物語をたくさん持った人間的神のように見えるがそうではなく、エロスはもともと宇宙開闢の際に「最初に生まれる四柱の神」の一人として「もっとも原理的な神」となる。その原理とはいうまでもなく「互いを引きつけ子を産む原理」となる。これが最初になければ「生む」ということがなくなり宇宙は生成できなくなるからである。ただし、この神はその後若返り、美の女神アフロディテの従者となって「男女の愛」を司り、さらに若返ってローマ時代にはついに「クピード(キューピー)」となって幼児の姿で描かれるようになったという不思議な神。(第一部ギリシャ神話紹介の部の「宇宙開闢の神々」「宇宙創生の神々」の章を参照)

エンデュミオン(美青年)
月の女神セレネが恋した青年として知られる。女神セレネは彼を不老不死にして永遠の眠りにつかせ、夜ごと彼のもとを訪れて一夜を明かしていると言われる(「神々の恋」の章参照)。

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オイディプス(知の英雄、最大の悲劇の英雄)
ソポクレスの『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』の主人公。ギリシャ伝説の中でももっとも有名な人物の一人。父を殺し母と子をなすという呪いの下に生まれ、それを避けようとして敵わず、最大の悲劇の主人公となる。人々を悩ませていた「スフィンクス」を、その謎を解くことで退治する英雄。スフィンクスの謎とは「身体と声は一つで、朝には四つ足、昼には二本足、夕べには三本足となるものは何か」であった。答えは「人間」となる(「テバイ戦争伝説」の章参照)。

オイノマオス(王)
ペロポネソス半島に名前を残す「ペロプス」の神話の登場人物。娘ヒッポダメイアに求婚してきた青年たちに戦車競争を挑ませ、勝ったら娘をやるが負けたら首を落とす、として多くの青年たちの首をはねていた。ペロポスの求婚の時に、御者に裏切られて死んだ。オリンピア博物館にある東破風の彫刻で知られる。

オケアノス(巨人・ティタン神族の一人、大洋の神)
ウラノスから生まれた原初の神の一人がオケアノスで「大洋の神」を意味する。この英語読みが「オーシャン」となる。まだ地球が円盤状に考えられていた太古の時代の面影を伝え、この円盤状の地球の周りをグルっと取り囲んでいたとされる。従って「地の果て」となり、地上的でない地、たとえば冥界とかエリュシオンの園(極楽)、ゴルゴンの住み家などなどおとぎ話的な国はすべてこのオケアノスの辺に想定された。「テテュス」を妻として、地上のあらゆる河や泉はすべてこのオケアノスの子どもとなる。

オデュッセウス(トロイ攻めの英雄)
ホメロスの『オデュッセイア』の主人公、『イリアス』での主要登場人物。イタカ地方の領主で智将。その策略・知謀から彼は「女神アテネの寵児」とされていた。ホメロスの物語でのオデュッセウスは「もっとも忠義で誠実な武将」であり、後代の古典期になってからの悲劇作家アイスキュロスでもそう評価されている。しかしさらに後代になって、「策士」ということで嫌われる風潮も出てきたことが哲学者プラトンによって知られる。ホメロスの『イリアス』では戦わせても強い。有名なトロイの木馬の発案者。『オデュッセイア』は、女神カリュプソのもとでの永遠の不老・不死を捨てて、人間世界の故郷へと帰還しようとする男の物語となり、それは「故郷願望」のテーマとされ、実際の故郷だけではなく「心の故郷」への願望の物語でもモチーフとされる(「トロイ戦争伝説」の各章、特に「トロイの落城」「オデュッセウスの冒険」の章を参照)。

オトスとエピアルテス兄弟(天に攻め入ろうとした反逆者)
「アローアダイ」とも呼ばれる。プラトンの『シュンポシオン(饗宴)』に登場することで知られているが、ポセイドンの子で神々への反逆者となる。二人は9歳にしてすでに2メートル近い巨人となり、オリュンポス山の上にオッサ山を、さらにその上にペリオン山を積み上げて天界に攻め入ろうとしたという。彼らは永遠の地獄で柱に大蛇によって縛り付けられて苦しみあえいでいるという。


オリオン(巨人狩人)
「オリオン座」の星座の主で、巨人であり美青年の狩人であった。星座物語では、どんな動物でも自分の手を逃れることはできないと自慢した傲慢に対して大地の女神が送りこんだ「蠍」に刺されて死んだと紹介される。ただし、こうした神話はギリシャ時代にはない(星座のギリシャ神話参照)。

オルペウス(音楽の英雄)
ギリシャ神話の中でもっとも有名な人物の一人。音楽の名手として「アルゴー船伝説」の主要登場人物の一人。死んだ妻エウリュディケを求めて冥界に下り、連れ帰ることを許されるものの、振り向いてはならないとの禁を一歩のところで犯してしまって妻を失い、それ以降、女に振り向くことをしなかったため狂乱の女性達に殺されるという伝説で知られる。死後、海へと流された彼の竪琴が天にあげられて「こと座」になったという。この冥界との関わりのためなのか、「オルぺウス教団」という宗教教団が作られており、思想史的に重要。

オレイテュイア(英雄の母)
アテナイ王エレクテウスの娘で、「北風の神ボレアス」に見初められイリソス河の辺でさらわれて、ボレアスによって「カライスとゼテス」を生んだとされる。この「カライスとゼテス」は「アルゴー船遠征」に参加して活躍。また、古典期になって神話を合理的に解釈する風潮が生じ、それに対してソクラテスが批判している時、この神話を引き合いに出していることでも知られる(プラトンの『パイドロス』)。

オレステス(ミケーネの王子)
アイスキュロスの悲劇『供養する女達』『慈しみの女神たち』などアガメムノンにまつわる悲劇いわゆる『オレステス三部作』の主要登場人物。アガメムノンの息子で、アガメムノンが妻クリュタイメストラに復讐されて殺された後、成長して王位をつぐために必要なこととして父の仇を討つが、それは母の血を流すという最大の罪のため復讐の女神に追われる。

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