3.ギリシャ神話、その主題と旋律 - 10. 英雄ペルセウス伝説 | 小澤 克彦 岐阜大学・名誉教授

ギリシャ神話、その主題と旋律
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INDEX
1. ギリシャ神話とは
2. ギリシャ神話の日本語資料
3. 宇宙ないし神々の生成の物語
4. クロノスの一族
5. プロメテウスの神話
6. オリュンポスの神々の物語
7. 神々の「恋」と「異性関係」
8. 闇の神々
9. 神話を彩る妖精たち
10. 英雄ペルセウス伝説
11. 豪傑ヘラクレス伝説
12. アルゴー船伝説
13. テセウス伝説と迷宮の神話
14. テバイを巡る三つの伝説
15. 英雄アムピアラオス伝説
16. トロイ戦争伝説の大筋
17. トロイ戦争の発端と前夜
18. トロイ戦争(ホメロスの『イリアス』全24巻の内容)
19. トロイの落城にまつわる諸伝承
20. トロイからの帰還物語
21. 星座のギリシャ神話、
黄道12宮の星座物語

10.

英雄ペルセウス伝説

「ゴルゴンのメドゥサ退治」 「アンドロメダの救出」 「その他の物語」


 以下のページから「英雄伝説」となる。ギリシャの英雄伝説には多くがあるが、ここでは代表的なものを紹介しておく。順序は一応「時代設定」順に紹介する。神話・伝承は歴史的事実ではないので、時代的順序はあまり意味がないとも言えそうだが、しかし、伝承はその前の伝承を踏まえていることが多々あるので、ある意味で重要である。

ゴルゴンのメドゥサ退治のペルセウスの伝説

 ペルセウスの、ゴルゴンの「メドゥサ」退治の話はギリシャ英雄伝説の中でもよく知られているが、それは後代「ゴルゴンのメドゥサの首ないし目」は「魔よけ」としてギリシャ世界に流布して、今日までさまざまの形で生きているからである。またさらに、このペルセウス伝説は大空に星座として展開している「アンドロメダ」や「カシオペア」などの物語の主人公でもあるので、その点でも有名である。
 ペルセウスの物語は、ペルポネソス半島の「アルゴス地方」のものとなる。この地方は後に
「アルゴス」「ティリンス」と分けられ、さらに「ミケーネ」ともなる。それらに関わるのがこの伝承となる。
 このいきさつだが、伝承ではもともとこの地方は「アルゴス」一本だったものが、後継者となる双子の兄弟が喧嘩して、アクリシオスという男が勝ってこのアルゴスを支配することになったけれど、負けたプロイトスが亡命して後、再び攻め寄せて「ティリンス」を獲得し「アルゴス全土を分けて」居を構えたとされている。

ゴルゴンのメドゥサ退治
1. ペルセウスの物語はこの「アクリシオス」に始まり、彼は神託によって「自分の娘の生む子どもによって命を落とすことになる」と言われる。そこでアクリシオスは自分の娘を青銅で作った部屋に閉じこめてしまう。青銅の部屋なら壊されず誰も侵入できないと考えたのであろうが、この閉じこめられた娘が「ゼウスの恋人」の一人として有名な「ダナエ」となる。
2. ゼウスは黄金の雨となってこの部屋に忍び入り、ダナエの膝を割って流れ込み犯してしまった。こうしてダナエは子どもを生むことになってしまったのだが、アクリシオスはゼウスが忍び込んでダナエを犯したなどとは信じられず、不倫と思って彼女とその子どもとを箱に入れて海に流してしまう。
3. こうしてダナエの入った箱は「セリポス」という見知らぬ土地に流れ着き、そこで母子は「ディクテュス」という男に拾われ養育されることになる。
4. そのディクテュスの兄がこの地を支配しており、やがてその男がそのダナエに恋してしまう。しかし時すでにダナエの子どもは成長していた。この子が「ペルセウス」と呼ばれた。
5. ダナエに恋したセリポスの王は、邪魔な子どもペルセウスを亡き者にしようと一計を案じて、自分は結婚を計画したので贈り物をもってこい、ということで友人達に呼びかけそしてペルセウスにも呼びかける。
6. ペルセウスからは「贈り物としてゴルゴンの首といえども嫌とは言わない」という言質をとり、それをたてに、絶対にゴルゴンの首をと強要する。
7. こうしてペルセウスは「ゴルゴン退治」に出かけることになる。そうした彼に「女神アテネ」が守護神として現れて、そしてさらに「道の神であるヘルメス」に導かれて、先ずは、一つの目と一つの歯を共有して互いに順繰りに使っているという生まれついての老婆三人姉妹のところにやってくる。
8. 彼女たちは目指すゴルゴンたちの姉妹だったが、ペルセウスが訪ねてきた理由は彼女たちがゴルゴン退治に必要な「空飛ぶサンダルと特殊な袋キビシス、さらに隠れ帽子」を持つニンフ(妖精)たちを知っていたからであった。
9. ペルセウスは、老婆たちからその「たった一つの目と歯」を取り上げてしまい、そのニンフの場所を教えてくれれば返してやろうといって教えてもらった。
10. そして首尾よくそのニンフの所を訪ね所望のものを手に入れた。こうして、ペルセウスの姿というのは神ヘルメスと似たような「羽根の生えたサンダル」をはき、「キビシスという袋」を背中に持って、「隠れ帽子」を被った格好となる。
11. その上に彼はヘルメスから「金剛の鎌」をもらってゴルゴンの住みかへと出かける。
12. ゴルゴンは三人姉妹だったが、二人は不死で「メドゥサ」だけが死の運命を持っていた。そこで、ペルセウスは当然メドゥサを狙っていく。ゴルゴンたちは大蛇のウロコで取り巻かれた頭を持ち、歯は猪のように牙をむき、手は青銅、その上翼を持っていたがそれは黄金だった。そして彼女たちを目にした者は皆「石」に変わってしまうのであった。
13. ペルセウスは女神アテネに手を引かれてゴルゴンたちが眠っているところに来て、青銅の盾にゴルゴンの姿を映してそれを見ながら、顔を背けて近づく。
14. ドゥサの首を切り落としたところ、そこから「有翼の馬ペガソス」と一人の人間の姿をした兄弟が生まれ出た。彼等はポセイドンによって孕んでいた子ども達だった。
15. ペルセウスはメドゥサの首をキビシスにしまい込むと急ぎ立ち去っていく。二人のゴルゴン姉妹はやっと目を覚まして事態を知ってペルセウスを追いかけてくるが、ペルセウスが「隠れ帽子」を被っていたために見つけることができなかった。
以上までが「ゴルゴンのメドゥサ退治」だが、話しはこれで終わらず、そのまま「アンドロメダの物語」につながっていく。

アンドロメダの物語
1. ルセウスはケフェウスが支配するエチオピアにやってくる。そこでペルセウスはケフェウスの娘アンドロメダが海の怪物の犠牲にされようとしているところにでくわす。
2. それは、母であるカシオペアが海のニンフたちに向かって自分の方が美しいと自慢したため海の神ポセイドンが怒り、高潮と共に怪物を寄こしたからであった。
3. 予言者が、娘アンドロメダを犠牲に差し出せば怒りも解けると予言したので、ケフェウスはエチオピアの人々に強いられて娘を犠牲に差し出さねばならなくなっていたというわけであった。
4. ペルセウスはアンドロメダがとても美しい娘であったので、もしアンドロメダを自分の妻にしてくれるなら怪物を退治してやろうと持ちかける。これは受け入れられ、ペルセウスは海の怪物が現れるのを待ち受けてこれを退治しアンドロメダを救い出す。
5. しかしアンドロメダには婚約者がおり、彼は自分でアンドロメダを助けようともしていなかったような男なので、ペルセウスに対しても陰謀を働いてくる。
6. ペルセウスはこれを知るやキビシスから例のメドゥサの首を取りだし、攻めかかってきたその男と共謀者たちを皆石にしてしまう。話はここからさらに「母ダナエを救出し、ティリンスの王となる」という物語に続く。

ダナエの救出とティリンスの王となる物語
1. ペルセウスは凱旋していったが、セリポスではダナエに横恋慕していた例の王がダナエに迫っていて、ダナエはペルセウスたちを拾って育ててくれた養父のディクテュスと共に祭壇に逃れているという事態になっていた。
2. それを知るとペルセウスは王の宮殿へとやってくる。王の方も人手を集めてきたが、ペルセウスはまたもキビシスからメドゥサの首を取りだし、自分は顔を背けたままでそれを差し出すとみんな石になってしまった。
3. ペルセウスは養父のディクテュスをセリポスの王に推挙し、そして翼を持ったサンダルやキビシスは神ヘルメスに返し、メドゥサの首は女神アテネに捧げた。
4. ヘルメスはまたこれらの品々を本来の持つ主であったニンフに返した。女神アテネの方はこのメドゥサを自分の盾の中央にはめ込んだ。
5. ペルセウスの方はその後、母ダナエと妻アンドロマケを伴って、自分と母ダナエを捨てた「祖父アクリシオス」のもとに向かう。
6. それを知ったアクリシオスは「ダナエの子によって命を落とす」とあった神託を思い出してアルゴスを立ち去っていく。
7. そしてある王の元に身を寄せていたが、その地で「亡くなった先王のための葬送競技会」が行われることになった。
8. ペルセウスはその話しを聞いてこの地へとやってきて五種競技に参加し、その一つである「円盤投げ」をしたところそれがアクリシオスに当たって彼は死んでしまった。
9. こうして神託が実現したところでペルセウスはその事実を知りアクリシオスを葬る。
10. しかしアルゴスに戻ってアクリシオスを継いで王位に就くのはやはりはばかられ、ペルセウスはアルゴスの隣のティリンスのメガペンテスのところに出向き、領土の交換を持ちかける。
11. メガペンテスはこの申し入れを受け入れてアルゴスへと入り、ペルセウスはティリンスを自分の居城とする。
12. そしてその枝城としてミデイアとミュケナイ(ミケーネ)に城を造る。
13. アンドロメダから多くの子をもうけたが、そのうちエジプトにあった時代に生んでケペウスのところに残してきた子どもは「ペルセス」といい、後にペルシャ人の王の祖となった。

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