3.ギリシャ神話、その主題と旋律 - 2. ギリシャ神話の日本語資料 | 小澤 克彦 岐阜大学・名誉教授

ギリシャ神話、その主題と旋律
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INDEX
1. ギリシャ神話とは
2. ギリシャ神話の日本語資料
3. 宇宙ないし神々の生成の物語
4. クロノスの一族
5. プロメテウスの神話
6. オリュンポスの神々の物語
7. 神々の「恋」と「異性関係」
8. 闇の神々
9. 神話を彩る妖精たち
10. 英雄ペルセウス伝説
11. 豪傑ヘラクレス伝説
12. アルゴー船伝説
13. テセウス伝説と迷宮の神話
14. テバイを巡る三つの伝説
15. 英雄アムピアラオス伝説
16. トロイ戦争伝説の大筋
17. トロイ戦争の発端と前夜
18. トロイ戦争(ホメロスの『イリアス』全24巻の内容)
19. トロイの落城にまつわる諸伝承
20. トロイからの帰還物語
21. 星座のギリシャ神話、
黄道12宮の星座物語

2.

ギリシャ神話の日本語資料


 ギリシャ神話に関わっての主要な資料のうち、我が国で参照できるものを紹介しておく。世界最古の文学と言える紀元前700年代初頭の詩人と推定される古代ギリシャのホメロスの叙事詩『イリアス』と『オデュッセイア』が、初期の時代の神話を反映していてもっとも重要(岩波文庫)。
 神話を神話として意識して叙述している最初は、紀元前700年代の後半の人と推定される詩人
ヘシオドスの『神統記(神々の系譜)』と『仕事と日々』で、通常ギリシャ神話はこのヘシオドスの伝えるところを基本とする(岩波文庫)。
 その他としては、紀元前5世紀頃のものかと推定される
『ホメロス風賛歌』と呼ばれる「神々の賛歌群」が重要(岩波文庫に『四つのギリシャ神話』として一部が収録、全体は平凡社の『ホメーロスの諸神賛歌』)。
 さらに多くの抒情詩人のもの、悲喜劇の作家の作品、哲学・歴史などの著作家の作品などが参考文献となる(多くが岩波文庫にある)。
 さらに、後期のものとしてもっとも重要なのが、
アポロドロスの『ギリシャ神話』となる(岩波文庫)。ギリシャ神話を普通に紹介しようとした時には、上記のヘシオドスの著作とこのアポロドロスの著作を付け合わせれば、一般には十分と言える。
 一方、これにローマ期の作家のものが加わってくる。たとえば
オヴィディウスの『転身物語』などが有名(人文書院)。しかし、ローマ期のものは本来のギリシャ神話を大きく逸脱・改変・脚色していることが多く、むしろ「ローマ文学」となっている。日本ではどういうわけか、ギリシャ神話をこのローマ期の作家による多大の逸脱・改変・脚色をうけた物語で紹介していることがあり、本来のギリシャ神話がねじ曲げられていることがあるので注意したい。
 日本におけるギリシャ神話の紹介本としては、古いけれど相変わらず
呉茂一の『ギリシャ神話』(新潮社)がもっとも優れている。それと高津春繁の『ギリシャ・ローマ神話辞典』は欠かせない。両先生はさまざまのところでギリシャ神話について書かれているがそれらも参照さるべきものとなる。
 他にはギリシャ古典学者である久保正彰、松平千秋、廣川洋一、川島重成といった方々の著作・論攷は我が国の研究を代表するものと言える。さらに、神話学者の吉田敦彦の著作・論攷が興味深い。

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