1.世界遺産にみる地中海域の古代・中世社会 - 4. 「アトランティス大陸伝説」の「テラ(サントリーニ)島」 | 小澤 克彦 岐阜大学・名誉教授

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21. ギリシャのビザンティン世界遺産群
22. キプロス島の世界遺産、「先史、古代ギリシャ、ビザンティン」
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25. 古代ペルシャ(現イラン)の世界遺産
26. バチカン法王庁と
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27.エスパーニャ(スペイン)
歴史紀行、その1
28.エスパーニャ(スペイン)
歴史紀行、その2
29.ちょっと変わったイスラーム、イランとモロッコ
30. シリア・ヨルダン歴史紀行
31. フランス(ガリア地方)開拓史
「先史巨石文明」から「ローマ帝国」まで
32. フランス中世の
「カトリック大聖堂」と「宮殿・古城」

4.

「アトランティス大陸伝説」の「テラ(サントリーニ)島」

(世界遺産未登録)。フィラの町。 イアの町。 アクロティリの遺跡。 アクロティリの壁画。


■アトランティスの伝説、テラ(サントリーニ島)
テラ(サントリーニ)島地図-小 拡大地図を見る>>
ギリシャ・エーゲ海、ギリシャ本土の南海上、クレタ島との中間あたり。
世界遺産指定されていない。古代文明遺跡の「アクロティリ」「アテネ考古学博物館収蔵の壁画群」など紹介。
いわゆる「アトランティス大陸伝説」のモデルとされる高度な文明の存在。ないし「ミノア文明」との関係。
ミノア文明と同時期で、紀元前1530年ないし1630年に起きた火山の爆発で崩壊。
詳細は不明だが、中東セム族の一派フェニキア系民族の公算が大と推定。
 クレタ島の北に「テラ島(サントリーニ島)」という島があり、この島は紀元前1530(ないし1630年)の火山の爆発でその島の半分が吹き飛んでしまった。最近になって、この島からクレタのミノア文明にも匹敵するような高度な文明の存在を示す「アクロティリの遺跡」が発見・発掘され、その高度な文明から、この島は古代ギリシャの哲学者プラトンが伝える「一夜で沈んだ高度な文明社会」という「アトランティス大陸伝説」のモデルではないか、として有名となった。
 他方、この火山の爆発がミノア文明の崩壊に、直接かないし間接的に大きな原因となったという研究がある。この火山の爆発はすさまじい規模で、テラ島の半分を吹き飛ばしてしまったほどなので、津波や火山灰など地中海中に深刻な影響を与え、直接的ではないにせよクレタ島にあったミノア文明の衰亡にも深刻な影響を与えたと推定される。
 ここの高度な文明と、同時期のミノア文明との関係は研究中。未だ発掘現場は小さく、また吹き飛んでしまった部分に何があったのか不明なので、この研究は長期にわたるはずである。
 ここでは現在のテラ(サントリーニ)島を観光的に紹介する。その際、やはり「アトランティス大陸の謎」を念頭にみるのが良い。またクレタのミノア文明との関連を探すのも良い。遺跡や壁画からここの文明のあり方を考えてみよう。自然に興味があれば、この火山の大爆発に刺激を覚えよう。
(外国語の日本語表記は厄介で、さまざまの表記法がある。ここではとりあえずの表記とする。
【01 テラ島にて】
ギリシャ南方にあるこの島は、正式名称を古代名のまま「テラ島」と呼ぶが、後にこの島の守護聖人となるキリスト教の「聖イリニ」にちなんで「聖(セイント)イリニの島」と呼ばれるようになり「サントリーニ」の名称ができた。ここにはミノア時代の重要遺跡があるのだが、クレタ島のミノア文明遺構そのものが世界遺産指定されていないのでここも未指定のまま。
【02 テラ島の火山噴火の跡】
この島にはミノア文明時代に高度な文明があったが、紀元前1530年と推定される大爆発で島の半分が吹き飛び海中に沈んだことから「アトランティス大陸伝説」のモデルとされる。この島は何度にもわたって爆発して現在の姿になっている。この島に「アクロティリ」というミノア時代の文明遺構などがある。
【03 テラ島の火山噴火の絶壁の家々】
現在、絶壁の縁の部分までフィラの町の家々が迫っている。古代以来、町は港町として形成された。現在ここがこの島の中心となっている。始めて訪れた者には感嘆を呼ぶ景色である。
【04 ネア・カメニのカルデラ】
火山の爆発の名残を残す火山島のカルデラ。
【05 テラ島の家々の様相】
テラ島のフィラの町の景色で、この景色の美しさが多くの観光客を呼んでいる。
【06 テラ島の教会】
この近辺の島々をキュクラデス諸島と呼んでいるが、それらの島々の教会はおおむねこうした青や赤、白など美しい色をしていることで知られ、テレビコマーシャルなどに良く使われている。
【07 イアの景色】
島の北端にある町で、同じように海に面した絶壁の上に固まっている。その町の美しさはテラ島でも随一と言われている。
【08 イアの景色】
この、島の北方面に古代ミノア時代の町が存在していたかどうかは不明。南のクレタ島に面した方面には有名な「アクロティリ」の町の遺構があってクレタ島が意識されていたことは間違いない。北方面はギリシャ本土に対面しているわけで、この方面での古代の町の有・無は貿易活動、社会性などでの何らかの意味をもつと思われる。
【09 イアの町並み】
イアの町は最近の1956年の地震で崩壊する以前は最大の町であったが、現在それほど大きくない。観光客の増大に伴って再び拡大の途中にある。
【10 イアの夕日】
イアの町の最大の観光名所が夕日の沈む海となる。
11 アクロティリの遺跡にて
【11 アクロティリの遺跡にて】
島の南端にミノア時代のアクロティリの遺跡がある。紀元前1530年の火山の爆発で埋もれてしまったわけであるが、住民は火山の噴火を察知していち早く脱出したようで、ポンペイとは異なり人間の遺体は出ていない。
12 アクロティリ三角広場
【12 アクロティリ三角広場】
三角広場と呼ばれる古代の町並の中にある広場であるが、町は水を通さない軽石に覆われたために内部はかなり保存状態が良く、見られるように道も広場も家の状態も良く保存された。
13 アクロティリの遺跡全体
【13 アクロティリの遺跡全体】
この町の住民だが、災害の後、フェニキア人が入ってきていると推定されている。そもそもこの島の本来の住民がフェニキア系の民族であった可能性は高く、そうだとしたら、災害の後戻ってきたとも言える。その後、紀元前9世紀頃にスパルタ系ギリシャ人が入ってきて、その指導者テラスにちなんでこの島は「テラ」と呼ばれることになったという。
14 家の内部と壺
【14 家の内部と壺】
食料品を入れておいた壺がそのまま発掘された。当時の生活の状態が良く観察される。
15 家の内部の崩れた階段
【15 家の内部の崩れた階段】
階段の遺構で、先の三角広場での家がそうであったように、おおかたの家は二階建てであったと考えられる。
16 ボクシングの少年
【16 ボクシングの少年】
ここからは多くの貴重な壁画が発掘され、美術史的な意味もさることながら、当時の文明の程度、文化のあり方、風俗などが研究されている。これは「ボクシングをする少年」図であるが、当時の平和な生活が彷彿とする。
17 漁師
【17 漁師】
「漁師」の図であり、当時の生活振りが理解される。美術の対象としてこうした日常の生活が対象として選ばれていることに、このテラの住民の精神や生活感覚が良くでている。
18 鹿
【18 鹿】
「鹿」の図であるがクレタ文明と同じく「自然」に対する姿勢と写実主義的表現が現れている。
19 巫女
【19 巫女】
女性の姿であるが「巫女」か、と推測されている。クレタの女性像と比較してみるとその類似性が指摘できると考えられ、このテラの文明とクレタの文明との関係が指摘されてくると考えられる。ただし、両者の関係について定説となりうるものは未だ形成されていないようである。
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